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「ン?...どうした、気持ち悪い?」
隙間0だった唇をゆっくりと離され顔色を窺われる。
カチカチに固まった俺を見てどこか心配そうに見ている勇士。
目が合えばホッと安心できるけど、首を横に振る。
「...違うっ、...でも、怖い。勇士のが動いてて、驚いたのもあるけれど...」
自分の気持ちを言葉にするのは難しい。けれど、俺はこの男の前では素直に言葉がでてきた。
恥ずかしいことも苦いことも一緒に過ごしてきた俺たちだ。一緒にいることが当たり前だから。
相手がどんなことを思うのだろうと、わかるから。嘘をついても、こいつにだけはそれが通用しないから、もう、ずっとずっと嘘なんかついたりしていない。素直に気持ちを伝えることができていた。
俺の言葉に勇士が少しホッとした表情を見せた。
「...これでも、勇気を出してやってるんだけどなー。
嫌われるんじゃないかとか、気持ちが悪くて抵抗されるんじゃないかとか。
…そのあとは、最悪で、2度と口を聞いてくれたり、目を合わせてくれないのかもって思ってる。」
不安を打ち明ける勇士に思わず俺は抱きしめていた。
「...初めてで...驚いただけ、だから」
言いながら勇士を見る。
「ン...チュッ、チュウ...」
勇気を出していると勇士が言ったから、俺もお返しだ。手で勇士の顔を止めてチュウってキスをした。
子どもみたいなキスだ。
すると、バッと身体を起こして顔に手を当てて隠す勇士。
「...嫌だった?ごめん、お前が勇気出したっていったから俺も...」
「啓太の事を甘く見てた…」
ン?勇士は顔を真っ赤にさせている。あ、耳まで真っ赤。
「いやじゃない、みたいだからよかった、へへへ」
俺が笑うとまた、勇士が微妙な顔をしていた。
「嫌じゃないよ、もっとしてほしい。」
顔を再び近づけてくるから希望通り再びキスをした。
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