その3、俺の綿密なネリネリ

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それは、一通のメールから動き出した。 『うちのが『なんで?男子高校生、初めての恋は幼馴染。「ずっと一緒に寝てくれますか?」』って言うBL漫画を勝手に頼んでたんだけど、あんた心当たりは?』 メールの相手は、幼馴染のお姉さん。 もちろん、この人も俺にとっては幼馴染なのだが、あまりにも年齢が上で、気付けば一歩引いていた。 見た目はとてもいいから、他の奴らには親しく声をかけれる立場を羨ましがられてた。 なんでも、俺たちが通っている高校の伝説のマドンナだからな。見た目だけだ。 何がいいんだ。 俺がスマホを持つと「あんたたちの面倒も、私がずっと見るんだろうから番号とアドレスを寄越しなさい」と無理やり交換され、今に至る。 『家に帰ったらバニラのアイスを食べたいの。買って冷凍庫にいれておいて』 『オムライスが食べたいの。母さんに伝えていて。もちろん、自分が食べたいと言ってね』 『パンストの黒(網目細かい)を至急、買ってきて。サイズはMからLね』 男子中学生に夜中にパンストを買わせ、男子高校生に代わりに強請らせて自分の好物を手に入れる。 幼馴染の姉は、あの国民的ネコ科のロボットに登場するとあるキャラにそっくりだった。 でも、変なところで家族に本性を隠している。いや、隠しているのは自分だけで、とっくの昔にバレてるけどな。 知ったときの驚く顔が見てみたい。だけど、それを待っても待っても訪れない。 それが余計にいらいらする。 俺が啓太に想いを寄せていることにもすぐに気づかれた。兄弟みたいな存在が、恋人としていて欲しいと思うようになって数年。気付かれないようにした恋心を、この姉の一言でさらけ出されていた。
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