その3、俺の綿密なネリネリ

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見下ろしている啓太を観察する。 大きめのシャツは、俺のやつかな?ボタンが引きちぎられた跡が確認できたけど、それどころではない。 薄っすらと色付く胸の周りに散らばる真っ赤な鬱血した場所。 ちょっと、付け過ぎたーっと思ったけど、それもまだ許せる。 けどね、無防備に俺のシャツの袖を握り締めて震えているとか、うん。萌え袖って使うときと場所によっては、犯罪級の罪深いものだと知る。これは、しっかりと教えておかなければ啓太のことを狙ってくる奴が出てくるかもしれない。 そう思ったら、今度は頭の中で瞬時に計算ができた。 確か、おじさんとおばさんは遠方の親戚に会いに行くと言って明後日迄帰ってくることはない。 実際に、今日は啓太の方から当たり前のように泊っていくだろって誘われた。 ただ、邪魔な人間がいる。 「夏さん、今日はデートでしたよね?あと、おじさんも、おばさんも明後日迄帰ってこないんですよね?」 部屋に入る前に、啓太には見せたことのない、じっとりとした視線を夏さんに向けた。 俺、知ってますよ。啓太に内緒で彼氏を作っていることを。そして、その人と結婚を間近であるということを。 ただ、夏さんの性格上、それをギリギリまでバレないようにする。 啓太の驚く顔が見たいらしい。 ― いいんですか、結婚間近ってばらしてもいいんですか?- 一瞬、悔しいっていう顔をした夏さん。もちろん、俺が言いたいことがわかっている。 「...勇士くん、私、明後日まで旅に出てくるからよろしくね」 浮かれた気持ちが一つも込められていないセリフに心の中で歓喜する。 悔しさが混じる夏さんの言葉。 俺、初めてこの人に勝てた気分だった。
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