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「お、お前っ!その格好で出て来るなよなっ!!」
俺の反応に奴は屁でもないというようにケラケラと笑っている。
「俺のなんかの裸見ても全然、平気だよね。啓太だって似たような恰好じゃん。
夏ちゃんは俺らの学校の伝説のマドンナなんだからな。
過去の男に比べりゃ俺らなんて大人に片足だけ突っ込まさせてもらった子どもだよ」
へらへらと笑いながら寝起きのあいつは欠伸をしながら再び俺の部屋に戻っていった。
はい、俺たちの卒業生でもあります、うちの姉。伝説を残したマドンナが俺の姉、茂越 夏です。
遠ざかっていく救世主の背中...
「ぉぃ、まさか...」
姉は女とは思えないような力で俺の身体を引っ張り起こし、ボタンが飛び散るのも構わずに着ていた大き目のシャツを開いた。
ブチっ音がなり、視界には飛び散るボタンたち。
あ、このシャツはあいつのなのに。
コロンコロンとボタンが床に転がる音が聞こえる。
「お前、そ、それ...」
姉が指さす方向が俺の身体なのでなんだ?と思い見た。
―!!!!!!
そこにはたくさんの鬱血コーン。
「それ、キスマ...だよなっ?!キスマだと言ってくれっ!」
頭の中には言い訳をしようとしているのに、姉の口からだされた言葉に頭の中が止まった。
姉は俺の身体を隅から隅まで見ている。
えっ...そこ、太ももの内側。
しかも、男の男の子がある場所でしょ?
女の子がそんな場所をじっくりと見たらダメだろうっ!
「ぉぉぉっ、まじか。えぇぇ、ここにも?」
姉はいつの間にか背後に回り首の後ろにも指を置いたり、腰のあたりにも触れたりする。
気が済んだのか姉は先ほどの魔王...いや、地獄の門番のような顔ではなくなった。
この辺りで、暗い室内に目が慣れて姉が何をしているのかはよくわかる。
再び、床に座り込む俺を見て姉はクルっと踵をかえした。
そして、俺の部屋の扉をトントンと軽快に叩いたあと、
「ごっめーん、啓太が動けないみたいだから手を貸してやって?」と声をかける。
すると、「へーい」とあいつの声がした。
がちゃりと扉が開き、中からは先ほどのあいつが。
「よっこらしょっ!」と声をあげながら俺は軽々と姫抱っこをされている。
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