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顔が近くて居た堪れない。うつ向いて隠そうとするけどこいつがこっそり言うのだ。
「照れてんの?...ほんと、可愛いやつ」
そう言った後、奴は俺の照れる姿を隠そうとするのだ。
「夏さん、今日はデートでしたよね?
あと、おじさんも、おばさんも明後日迄帰ってこないんですよね?」
部屋にはいる直前、奴は姉に尋ねた。
すると、「...勇士くん、私、明後日まで旅に出てくるからよろしくね」と言うのだ。
え?旅行?初めて聞いたんだけど?
ってか、彼氏?そんなのいたの?
俺はちらりと姉を見た。
...キラキラと目を輝かせながら親指を立てている。
えっ?
「…ふふふ、よかったな、啓太」
閉じていく扉から姉の姿が消えていく。
そのタイミングを計算したかのように目の前の幼馴染は顔を近づけてキスをしてこう言うのだ。
「どうして、誰かをさそうような恰好でいたの、啓太」
―!
雰囲気が変わり奴を見る。
すると、ベッドの上に乱雑に落とされてドンと身体を固定された。
「これ、あの人に見せたの?」
シャツには飛び散ったボタンが手放した糸が頼りなくそこにいた。
俺はその時の事を思い出し、目を見て言うのだ。
「見られたくなかったっ!いきなりブチブチとしてきたの。動けなかったんだもん。お前はずっと寝てるし、待っても起きねーし。...仕方がないだろっ!急に、は、腹が痛くなって...」
惨めな気持ちになり涙が出そうだ。
「あー、ごめん。腹が痛かったの?ごめん。掻き出そうとしたんだぞ、これでもな。
でも、お前がするなって言うし、俺もちょっと疲れすぎたというか、ヤリ過ぎたというか...」
ニヤニヤした顔で言い訳しても本気で悪いとは思ってないと思う。
勇士は俺の身体をクルっと変え、腹を引き上げてきた。
おかげで俺はうつ伏せ状態から尻だけが突き出しているという間抜けた格好だ。
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