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「あぁ、良かった。まだ切られてなくて。」
ー長い眠りにつこうとした私を起こす人が来ました。ー
「随分時間が経っちゃったけど…約束したよね、貴方。何十年先も私と一緒にこの桜が見たいって。」
ー女性は写真と私を交互に見ています。ー
「2人で最後にここに来た次の年に貴方は私を置いて逝ってしまった…。私も何十年、ここに来れなかったわ。でもね、貴方?やっと来れたの。
貴方がいない日々は私にとって苦痛でしかなかった。思い出すのも辛く、悲しかった。でも、今日やっと来たのに…。この桜の木、切られちゃうんですって…」
ー写真の男性に話しているのか、ソメイヨシノの私に話しているのかわからないけれど、悲しんでくれている事はわかりました。
この女性はあの時の女性だったのですね。お待ちしてましたよ。ー
女性は私に触れ、懐かしむように写真の男性と長い時間話をして帰って行きました。
去り際に私に向かって、「ありがとう。」と頭を下げていました。…こちらこそ、ありがとう。
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