100の春を越す

100の春を

…

私はクローンです。

人の手に寄って作られたマガイモノです。

それでも春になると私の周りにはたくさんの笑い声が集まってくるのです。

春を過ぎ夏を迎える。花が全て散って青々と芽吹く葉は人々の目にどう映っているのでしょうか？

夏を過ぎると、私の体にある栄養を求め小さきモノが集まります。穴だらけの葉、風になびいて散りゆく葉。

冬になると私の体は細く弱々しく見えることでしょう。
葉を散らせ、枝のみとなった私の体は目に見えない所でゆっくりとその時を待っています。

ソメイヨシノ、それが私。日本国中、いえ、海外にも私と同じクローンが植えられています。
人の手によって作られなければ増えることのない種類。

エドヒガンザクラとオオシマザクラが私の両親です。
たくさんのクローンを生みました。

これは、そんな私が見てきたお話………。