100の春を過ぎたら…

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… 「妹尾さん、あの、俺…。」 ー伐採が決まった私の元に連日やってくる人々。本当は駄目なのだけど、柵を越え、私のそばにやってくる。ー 「庄司くん、ここ懐かしいね。ここでお花見したよね。庄司くん、じゃんけん弱いから場所取り係でさ。あの時は、まさかこの桜の木が切られるなんて想像してなかったな…。」 ー私もです。でも、仕方のない事なのですよ。ー 「妹尾さん、俺、この桜の木の下で妹尾さんに出会ってから、ずっと好きでした。結婚を前提にお付き合いしてくださいませんかっ?!」 ー相変わらず私より妹尾さんに夢中な庄司くんは大げさな身振り手振りを交えながら。 …何も変わってませんね。ー 「…はい。」 「…はい。…え?はい?」 「はい。」 「え、良いんですか?俺ですよ?」 ーふふふ。庄司くん、自信を持たないと。妹尾さんに飽きられちゃいますよ。良かったですね。ー
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