琉球ガラスのような恋

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「……智也」 エントランス前の階段を上りきったところに濃紺のスーツを着た智也がいた。 智也は、いつもの笑顔で玲子を迎えた。 「おはよう。玲子」 「おはよう……あの、智也」 ーーーこの前と同じだ。この前も智也と約束していたのに私が破った。誓ったのに。私は、智也を傷つけないって。きちんと説明しなくちゃ。 玲子は、立ち止まったまま動かずに智也を見上げた。 ーーーどこから、話そう。西が極道の家の息子だと言うことから? たぶん、今、車の中に西がいたのを見てたはず。 戸惑い玲子は、何から話すべきかわからないで口を閉じた。 二人の間に微妙な空気が流れていた。重苦しい沈黙。 「……ひとつだけ聞かせてくれるか?」 階段を降りてきた智也は、玲子を前にして真面目な顔を見せる。 「えっ? うん」 智也は玲子の右手を取り、まっすぐに見つめる。
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