21人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
仁義なきLOVESTORY
◎仁義なきLOVESTORY
ギラギラと太陽が照りつける高層ビル街。外の暑さが、嘘みたいに涼しく感じるデパート。
玲子は、お腹の大きくなった瞳とベビー服売り場で足を止めた。
「お腹いっぱい。涼しいし、デパート最高だね」
瞳は、ベビー用のスタイや靴を眺めて感心していた。
「うわー、見てみて!玲子! かわいー。だけどさー、高いくない?小さいくせに 値段は一人前だわ。布は、たいして使って無いのにね」
白いヒラヒラしたワンピースを小さなマネキンが澄ました顔して着ていた。
ワンピースの裾を掴んで、瞳は玲子を見た。
「ありがとね、玲子。ベビー服買って貰っちゃって」
「いいって。結婚祝いだから」
玲子は、妊娠して会社を辞めた瞳と久しぶりに会って、昼を一緒に食べた後、結婚祝いと称してベビー服を買った。
「まあ、玲子の結婚祝いは奮発するからね」
「そんなの、いつになるかわかんないわよ?」
「そう?人生わかんないもんよ。私だって、こんなにすぐ妊娠するとは思わなかったしさ」
瞳は、お腹をゆっくり撫でた。
「でも、良かったじゃない。結果的には」
「まあ、そうね」
淡い色調のベビー服売り場は、まるで雲の上の世界みたいだった。
最初のコメントを投稿しよう!