一章 システムの問い

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多くの業種にシステムを納入している情報業界の大手会社。 テイラーシステムズの親会社はあの一流会社だ。 俺はもう一言付け足そうかと考えた。 右側に座る白髪の男性が口を開く。 「では、朽木さん。あなたにとって、社会人になるとはどういうことですか?」 え? 社会人になること? 社会人になるとはどういうことかなんて考えてもいなかった……。 右側に座る白髪の男性は先ほどとは少し表情が変わった。 何というか……目つきが鋭い。 しかし、ここで戸惑ってはまずい。 とにかく何か答えなくては……。 「はい。私にとって社会人になるとは、社会の役に立つ人間になることです。社会の役に立つ人間になることが、今までの学生生活との違いであり、学業をすることだけが仕事の学生から、社会の役に立つ社会人になることで……」 やばい、答えの着地点が見えなくなっていく。 面接対策本の一行が脳裏に浮かぶ。 『緊張したときほど、短くまとめること』 「……社会人になることで、御社と社会に最大限に貢献したいと思います」 無理やりか? どうにか着地したぞ。 俺は緊張でぼやけた視界が徐々に定まっていくのを感じた。 二人の反応は? 左側に座るオールバックの男性は……にこやかだ。 右側に座る白髪の男性は……無表情!? 俺の足元から不安が広がっていく。 「朽木さん……」右側に座る白髪の男性が言う。 やば?!     
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