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多くの業種にシステムを納入している情報業界の大手会社。
テイラーシステムズの親会社はあの一流会社だ。
俺はもう一言付け足そうかと考えた。
右側に座る白髪の男性が口を開く。
「では、朽木さん。あなたにとって、社会人になるとはどういうことですか?」
え?
社会人になること?
社会人になるとはどういうことかなんて考えてもいなかった……。
右側に座る白髪の男性は先ほどとは少し表情が変わった。
何というか……目つきが鋭い。
しかし、ここで戸惑ってはまずい。
とにかく何か答えなくては……。
「はい。私にとって社会人になるとは、社会の役に立つ人間になることです。社会の役に立つ人間になることが、今までの学生生活との違いであり、学業をすることだけが仕事の学生から、社会の役に立つ社会人になることで……」
やばい、答えの着地点が見えなくなっていく。
面接対策本の一行が脳裏に浮かぶ。
『緊張したときほど、短くまとめること』
「……社会人になることで、御社と社会に最大限に貢献したいと思います」
無理やりか?
どうにか着地したぞ。
俺は緊張でぼやけた視界が徐々に定まっていくのを感じた。
二人の反応は?
左側に座るオールバックの男性は……にこやかだ。
右側に座る白髪の男性は……無表情!?
俺の足元から不安が広がっていく。
「朽木さん……」右側に座る白髪の男性が言う。
やば?!
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