五章 信頼関係の問い

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一部の機械では青く小豆ぐらいの大きさのランプがカチカチカチと点滅している。 俺はその機械の上を見た。 網越しに見える赤いランプと青いランプ。 俺が何度となく書類で見てきたシステム。 そして、俺が初めて仕事をすることになるシステム。 それは目の前でただ俺をじっと見た。 ライオン! タワーに入ったリライオンシステムはまるで檻の中のライオンだった。 俺はライオンと目があった。 ライオンはシューと低い音で呼吸する。 「ではライオンの採血を始める」桐生さんは言った。 俺は黙って頷いた。 桐生さんは部屋の隅にあったテーブルを持ってきて、テーブルの上にノートパソコンを置いた。 俺はノートパソコンの電源を床のコンセントに差し込む。 桐生さんがタワーの把手を掴んだ。 カチャッ。 タワー前面の扉が開いた。 高く積まれた機械が露になる。 これがライオン……。 高く積まれた機械は敷居板の上に載せられている。 いくつもの色とりどりのケーブルが血管のように機械の周りを這っている。 俺たちはライオンから無事に採血出来るのか? 桐生さんが閉じられていた画面を開く。 ライオンに何やら文字を打ち込み、見慣れた青い画面が開く。 俺はライオンの様子をもっと見ようと、桐生さんに近寄る。 「朽木くん、俺が言ったとおりにノートパソコンを操作して」桐生さんは言った。 「はい、分かりました」俺は桐生さんに返事をした。 俺はテーブルの上のノートパソコンを操作し、画面を開く。 桐生さんは一から操作の仕方を説明してくれた。 どうやらライオンとノートパソコンが繋がったらしい。 桐生さんが俺の隣に立つ。 「ライオンの採血は微妙な操作を必要とする。まだ君に任せるには少し早いかもな」桐生さんは言った。 「分かりました」俺は桐生さんを見た。 「ありがとう、あとは俺がやるよ」 桐生さんがしゃがんでパソコンを操作した。 タワーの扉が開き、露になったライオン……。 採血を待ち、静かに呼吸をしている。 大丈夫だ。 何も問題は起きない……。 俺は半ば自分に言い聞かせた。 桐生さんがパソコンをカタカタと操作する。 俺は桐生さんの様子を眺めた。
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