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わずかな沈黙の中、真は彼を見下すようにして口を開く。 「…フーン……。 あんた、Ωなの?」 こんなことをされるならΩに違いない。ましてや真はΩを毛嫌いしており、明らかに冷たい声色と態度を取る。 …そして、真はこの状況の中である提案を思いつく。 「…は…はい……でもっ、何でも、します…から…」 彼は真の目を一瞬見るとビクと身体を震わせ、下を向いてそう答える。 その答えは、真には好都合な大正解だった。 「…ナンでも?」 真の表情はだんだんと怪しく微笑む。もう顔を見上げれない彼はこくこくと頷いてとにかく体育館へ向かわないとという意思が極めて強いらしい。 "何でもする"という返答を得た真は、目を弧状(こじょう)に緩ませ「ちょっと待ってて」と言い去り、数秒ほど経つと何かを脇に抱えて戻って来る。
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