異状

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それはそうと、昼休みになると真はこの後5限目にある体育を控え、誰にジャージを借りようか悩んでいた。 同学年は大体合同で被っているか、そもそも持ってきてない人の方が多いためあまり当てにならない。 じゃあ上級生の先輩しかないとひとまずLIMEを見て知り合いを探る。 また、体育の授業があるのかも分からないので地味に困った問題だ。そんなことを昼休みという今更行動に出始める所が真らしいといったところだろうか。 「…あ」 LIMEの友だち欄をくまなく見るとそういえば、と思い当たる先輩を見つけ、すぐさま『こんにちは、先輩ジャージ持ってますか?』と簡潔に送信した。 思い当たった先は、雷司だ。昨日少し接点したくらいで関わりもあまりないが、真は雷司がバスケ部だということを知っており、あとは…人柄的に貸してくれそうだなと思ったからだ。 …すると、3分しない内に既読マークが付き返事も来た。『こんにちは!持ってるよ』と語尾に太陽なのかニコちゃんマークなのか微妙な絵文字を加えて返ってきた。 思い通りになった真は、ラッキーと感じその勢いで『5限目体育なので貸してくれますか?無くしちゃって!あと、持ってきてほしいです俺3年のとこ行きづらくて。お願いします〜』と真は柄にもなく媚びを売る感じでお願いのスタンプを付け加えた。 雷司はコンビニで買った2個目のハンバーガーを口にほうばりながら『いいよ!ご飯食べ終わったら来るね』と返し、心の隅で図々しいな…と思いつつも、ちょうど真に会って聞きたいことがあり良いタイミングなため、早めにご飯を済ませ歯磨きをして、ジャージを脇に抱え1年のところに向かうのであった。
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