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采美高校には30人居るクラスに大体4、5人のΩの生徒が在学している。 新学期が始まり尚、Ωを軽蔑したり差別する様子は絶えなかった。 …そして、とある1年生の噂が立ち始めたのは、彼もまたあるΩの者をターゲットに差別をしているからであった。 その噂の1年生とされる彼の名は、中森真(なかもりまこと)。──彼はごく平凡と言われるβだ。とは言えど、細い鼻筋に目尻に沿って跳ねた睫毛が特徴のつり目。瞳の色は紫で妖艶に光る。ストレートの襟足が刈り上げられた黒髪をセットして、前髪の分け目はよく変えたりしている。 両耳にさがるシルバーのピアスは彼の特徴の一つで際立っていた。 おまけに、スラリとした細身で172、3cm程の容姿でスタイリッシュだ。 そんな目立たない訳が無いと言わんばかりの風貌(ふうぼう)は、少なくとも1年生の間ではいき渡っているだろう。 彼はβもしくはαの生徒とつるみ、αと同様、学年の中心であった。
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