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──そして噂の事の発端は、学校が始まって1週間ほど経った頃。
真は次の時間が体育であるというのに友達に「保健室で寝るからテキトーに誰かに具合悪いって言ってて」と軽く伝え、堂々とサボろうとした。加えその前にトイレに寄る。
真がトイレに入り、鏡を見て前髪を整えようとすると、奥の個室になってるところから物音がした。目をやると、その拍子にガチャガチャと不器用な音を立て鍵が開くと扉から息を切らし、咳き込む一人の男子生徒が出てきた。
真は一言「うわっ、なに」とこぼし、その生徒を若干引いた目で見やる。
同じ階で当たり前だが、ネクタイの色が真と同じ赤色で同学年の1年だと言うことが分かる。
…長い前髪から見える泣き腫らしたような赤い眼に、荒く震えた吐息、乱れた制服…よく見たらスラックスズボンを履かずにトランクスしか履いていない。
「…っクサ…え、何?汚な」
その上、彼が出てきた途端から鼻につくような粘着的な臭いがして真はを口元を抑えながら歯に衣着せず言った。
彼はその言葉が聞こえてないのか、枯れた喉で咳をひとつふたつすると真に近づき口を開いた。
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