1週間

2/3
前へ
/30ページ
次へ
地球滅亡宣告を受けて、1週間が経った。 一向に、そんな雰囲気は無い。 みんな日常を過ごしていて、誰も慌てる様子がないからだ。 「あと3週間。」 「わかってるって。」 ナギサの姿をしたコイツも、ずっと一緒にいる。 「マジで滅ぶんだよな?」 「ええ。100%」 「誰も何も動いてないけど。」 「あたりまえです。国家機密ですから。」 本当に滅ぶなら、バイトも大学も行く必要なんてない。だけど朝起きて、準備してしまう俺は相当()に執着してる気がする。 「俺、生きたいのかな。」 「生きたいのなら、承諾すべきかと。」 「そうだよな…。」 ナギサが死んだとき、俺の日常はつまらないものになった。 大事な宝物が、突然消えたから。 なのに、ニセモノのナギサが来たときから、また色を付けだした日常。 ナギサを裏切っている気がして、無性に自分に腹が立った。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加