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「高橋くーん!一緒に帰ろ」
高橋とは僕の名前、そしてその僕を呼ぶのは...僕の彼女の橘晴香だ。
「ねぇ、私たち。付き合ってるんだから一緒に帰るくらいいいじゃないの」
僕は制服のポケットに入れていたスマホの電源を入れる。
すると、朝の8時にメールが送られてきていた。
《今日、もしよければ一緒に帰らない?》
僕は内心ため息をつきながらも彼女に向かって首を縦に振った。
了解したという意味だ。
「うん!ありがとー。じゃあ気になるお店があるんだけどちょっと寄り道してもいいかな?」
僕は再び首を縦に振る。
「やった!こんな感じで付き合わせてゴメンね。お礼に今日は私が奢るから」
橘さんは優しいし気も遣えるし勉強も出来るしスタイルもいいし人の悪口も言わない。
それに、とてつもなく可愛い。
そんな橘さんを彼女と言える僕はさぞ幸せものだろう。
これまでの流れから誰もがきっとそう思うだろう。
しかし現実は違う。
優しいし気も遣えるし勉強も出来るしスタイルもいいし人の悪口も言わないそれに、とてつもなく可愛い橘さんを彼女に持つからこそ分かることがあるのだ。
そう、もうはっきりと言ってしまおう。
優しいし気も遣えるし勉強も出来るしスタイルもいいし人の悪口も言わないそれに、とてつもなく可愛い橘さんと僕は...
今すぐにでも別れたい。
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