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「へぃ!彼女!!ちょっと待ちな」
僕と橘さんがカフェを出た後、まるで待ち伏せしていたかのように二人組のチンピラ風の男が橘さんに絡んできた。
「え、私ですか?」
橘さんは声を震わせながらいった。
僕の手を握る力がいつもよりも力強い。
「ああそうだよ。ねぇちゃん以外に誰かナンパされそうな女が近くにいるかい?」
二人組は僕には目もくれずに橘さんの元へと徐々に接近してきた。
橘さんの手汗が僕の腕に流れ落ちているのを感じた。
きっと怯えているのだ。
「そんな冴えない男と一緒に居ないで俺らと遊ぼうぜ。そいつでは見せられない世界、俺らが見せてやるよ」
なんか言わなきゃ。
そうだ、ここは男である自分が何とかしなきゃ。
でもダメだ。
橘さんの手以上に、僕の足は震えているのだ。
「申し訳ないですけど今のところ、そのような世界には興味がないので結構です」
これが橘さんが出来る精一杯の抵抗なのだろう。
彼女の激しい脈拍が僕の手に伝わってくる。
「ふふふ、新しい世界に飛び込むのは怖いよねぇ。でも安心しな、3日もたちゃもう楽しくて戻れなくなるよ」
そう言うと、チンピラの一人が橘さんの左手を強引に掴んだ。
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