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黒人のように立派な体躯をした巨大な棒を、実に美味そうに頬張る、彼女の姿があった。
彼女は月が落ちるように流し目で、右頬に彼の棒を頬張りながら、私を見付けた。そうして、また少しばかり涎を付けながら、また作業へと戻っていった。彼が言った。ああそうだ、彼は私の親友であった。そうだったと、私は今頃になって気が付いたのだ。彼女は、そんな私を横目に、淡々と彼の一物をしゃぶり続けている。彼が言った。
彼はこう言っていた。
「おまえ、こいつのこと、別に好きじゃないだろ」
「うん、好きじゃない。むしろ嫌いだよ」彼女の右頬には痛いほどに張り詰めた黒い大きな棒が詰まっていた。私のそれは、まるで及ぶべくもない。
私の回想は、これまで。この十数年間にも及ぶレッドカーペットの地獄の回廊から漸く抜け出した、抜け出したと思ったら、こんな扉が、パンドラの箱が待ち受けていたなどとは、思いもしていなかった。私は涙に濡れた自身の顔を服を掻き寄せるように手で覆って、その場を後にした。
目が覚める。
夢精はしていなかった。私は酷く気分の悪い胃加減でノソノソと寝床から起きて、朝の始業を知らせる鐘の前に目が覚め、カーテンを開けた。そこには、先程の巨根を思わせる巨大な尖塔と、巨大な都市が広がっていた。彼女はそこにいるのかもしれない。
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