1.9度目

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『膣の内側と外側の皮膚を触って、状態を確かめます。脚を開いてリラックスするように伝えて。』  私は患者に触診をするので、脚を開く様に説明する。最初は固く脚を閉じて恥ずかしさと恐怖心に支配されていた患者だったけど、覚悟を決めたのか強く目を瞑りゆっくりと脚を開き始めた。観音扉が開かれた先には、サーモンピンクの綺麗なヒダが露になり、固く守られていたトンネルが少しずつその口を開いていく。ライトで照らしていないにも関わらず、蛍光灯の光を反射しててらてらと輝いている。きっと私の時みたいに恐怖で濡らしてしまったのだろうと思い、私は遠目でありながら初めて直で見る女性器に釘付けになっていた。 「では今から双合診を行います。体を楽にしてくださいね。」  私に言わせた後先生はゴム手袋をはめて、患者の膣内に指を二本挿入する。くちゅりと小さく水音が響くと同時に女性はうぅ!!と小さく呻き、体を震わせる。  先生はまるで測量士の様に手指の角度を変えて、洞穴の状態を確かめる。その上外から子宮辺りの位置を指で押して感触を確かめているため、女性の呻き声は絶えることがない。先生が真剣な面持ちで診察している中、私はあんな奥まで指を入れられまさぐられているんだと勝手に想像してしまい、飛び出しそうな程脈打つ心臓を必死に抑えていた。    指を引き抜いた先生は、手袋を外してテーブルの上にある用紙に何か書いた後、いくつかの器具を手にもって戻ってきた。自分から志願したとはいえ、大事な所を好きでもない男に触られてしまった患者は泣きそうな表情でしばしの休息を堪能していた。  元々綺麗な顔立ちの女性のどこか哀れなその表情を見て、私は何故か不謹慎にも気が昂り、股に力を込めて脚を閉じてしまう。見られたら嫌だと思い目を伏せるも、先生から軽く叩かれて否応なしに現実に引き戻される。 『細胞診をするために膣口にクスコを挿入します。深呼吸して力を抜くように伝えて。』  そう書かれたボードを見て、昨日のトラウマが甦り心臓が跳び跳ねそうになる。だけど患者が次に何されるのか説明してと目で訴えているため、何とか耐えて詳細に伝える。  女性が不安そうに見えないカーテンの先を凝視する中、先生はクスコを挿入しキリキリと口を広げていく。あまり嫌がる素振りを見せない所から、入れる前に人肌程度に暖めていたのが伺える。どうやら私と違って本気で診察にあたっているようだ。
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