1.9度目

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「最後にこのエンドサーチという器具を使って、子宮内の細胞を採取します。先程の頸部細胞診と違って、子宮内に入れるため多少痛みが伴いますが、正確な診断のために必要な診察です。頸部の後ですし、気分がよろしくないのであれば止めておきますが、いかがなさいますか?」  女性は不安気な表情で私を見つめる。どういう訳か私の意見が聞きたい様だ。ここまで来るのでさえすごく怯えていたのに、これ以上の診察、さらに痛みもするとなれば、止めてあげるのが情けなのだろうけど… 「危険な病気が隠れているかもしれません。受けましょう。私が側に付いてあげますから。」  この人がどうなろうと興味がないはずなのに、どうしてか私は先生の指示もなく診察を勧めてしまう。女性もその言葉を待っていたのか、意を決して「できるだけ痛くない様にお願いします。」とカーテンの向こうにいる先生に告げる。私もその決意を聞けて、内心嬉しく思ってしまう。まるで、どんな淫らな姿が、苦悶な表情が見られるのかを楽しんでいるかの様に興奮が隠せないでいた。  いきますよ、と言って先生は再び未使用の子供部屋へ向けて掻爬器をボーリングしていく。最初こそ静かに瞑想していた患者だったけど、子宮口に到達したのかいきなり目をかっ開き、あぁっ!!と悲痛の声を上げる。その姿を見た私は床から針が飛び出し、脳天まで突き刺さったかという程身体をビクビクと震わせてしまう。 「お、お願い!!手を握って!!いたいこわいああぁー!!」  子宮内に入ったのか、痛みに耐えるべく女性は私に震えるその手を差し出す。私は迷うことなくその手を両手で包み、強く握りしめる。彼女の手から痛み、恐怖、羞恥心、熱、震えを極限まで感じることができ、心臓の動悸がはぁはぁという、小さな吐息となって漏れでてしまう。火でも付けられたかの様にアソコが熱くなり、女性の苦しみを全身で味わっていた。  私の様子がおかしいことに気がついたのか、器具を引き抜いた先生はスライドガラスに塗布すると私に指示せずに自分でエタノールに浸す。消毒処理をしている間も私は彼女の手を離さずにいた。女性の方も体の負担が大きかったのか惚けており、処置が終わるまで私達になすがままにされていた。
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