2.0度目

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2.0度目

「せ…先生。今日の来院者のリスト、纏め終わりました。」 「ありがとうございます。まだ初日ですし、大変だったでしょう。一日ご苦労様です。」  先生はリストを受けとるとパラパラと内容を確認し、パソコンのグラフに何かを打ち込んでいく。氏名しかないリストを見て何が分かるのか検討もつかないけど、検温の時といい先生はデータを集めるのがとにかく好きらしい。既に閉院したというのに、患者想いの仕事熱心な人だ。私にしたことを除けば。 「あ、あの。まだ、家までの道、分からなくて…その。送って…頂けないでしょうか。」 「あぁ、そうですね。後一仕事終えたら送りますので、少し待ってて下さい。」  …お願いだから早くして欲しい。さっき処理したばかりなのに、昂りは未だ留まることなく私を蝕んでいく。  パチパチとキーボードを叩く先生の指は私のよりも骨格逞しくて、何故か見惚れてしまう。他にすることはないとはいえ、何も凝視することはないのに顔が固定されているかの様に、視線を反らすことができない。打鍵音が響く中、私は昨夜あの指にあと一歩の所まで征服されかけたことを思い出し、股を強く絞める。視界がイメージのせいでぼやけていき、力んでいないと支配されてしまいそうだ。  早く。早く。はやく、して…
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