社畜様

1/2
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

社畜様

「ねえ、浅羽君、これやっといてくれるかな。」 え、それは課長が頼まれたはずじゃ、 「浅羽さん、あとお願い。」 まだ定時じゃないのに。 「浅羽、頑張れよ。」 励ましよりも手伝って欲しい。 なんで俺は、こんな世界に生まれて、こんな社会に憧れてたんだろう。もう、疲れたな。明日は、また、残業かな。もう、終わらないのかな?死ぬまで、ずっと? ファンタジーの小説や漫画は、嫌いじゃない。逆に好き。でも、最近はご飯もろくに取れない。こんな状況で、趣味に没頭することなんてできない。だから、仕事をして、時間を得ようとする。でも、仕事を消化するペースと増えるペースはずっと消化するペースの一人負け。この状態で、趣味に没頭するなんて考える方がおかしいのかな?小さい頃から、周りと違った。天才だ、麒麟児だ。って言われたけど、違う。お父さんとお母さんに、自分がいるってことを証明したかった。ご飯はいつも冷たい。暖かい居場所は、漫画とか、アニメ、小説とか、いきてないものばっかり。だから、お母さんに、中毒って言われる。取り上げられる。頭が悪くなるからって。ちゃんとテストでいい点とってるって言っても、毎回百点じゃないでしょって言われる。ちょっと前までは、毎回九十点じゃないでしょって言ってたのに。お母さんの言うことを聞くと、ハードルが上がる。聞かなかったら、取り上げられる。これ、どう言うことかな?このことを言っても、知らんぷりされた。小さい頃がこんなだったから、大人になってもこんななのかな?大人になっても、楽しくないこの世界。気のせいかな?もう、自分がなんと為に生まれたとかわからないよ。 なんだか、凄く、眠くなってきた。頭が熱い。体に力が入らない。息が、苦しい。意識が、飛んでいく。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!