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第1部 第1章 ロン・ハリム登場
砂が頬にはりついて、汗は滴り落ちることなくすぐに干からびてしまった。ちょうど真上に太陽が昇る時間で、遠くの砂山がかすんでゆらゆらと揺れていた。
「おい、オイール、そんなに荒れるなって」
そう言って少年は長年つれそったリャマのオイールの手綱をぐいっと引っ張った。
砂漠を旅して何日たっただろう。砂と土埃まみれになりながら、少年はさまようように砂漠を旅していた。乾燥し、大きなざらついた砂山、切り立った岩場、乾燥してひび割れた大地のなかを。少年の名前はロン・ハリム。年は15~6歳だろうか。相棒のリャマのオイールは、ブルブルと鼻を鳴かせて、ハリムをその真っ黒な瞳で見つめた。
「もうすぐ近くの町につく。それまでは我慢しろ」
ハリムはオイールの荷物袋から計温器を取り出し、見た。計温器は気温46度、湿度0%を示している。
だんだん風が強くなってきていた。ハリムのすぐ前に、大きな嵐の渦がとぐろを巻いて唸っていた。
「くそっ砂嵐か!」
ハリムはオイールをかがんで座らせて、砂山の溝に腰を下ろして布を被った。
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