APE

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 峠を目指し、アクセルを全開にして、バイクで夜の街を駆け抜ける。  車の列の隙間をひらひらと縫うと、俺の横柄な走り方に腹を立てたのか、どこかのドライバーがクラクションを鳴らした。 「朝になったら新幹線ですぐ来て」  と言った、電話の向こうの声は震えていた。  いても立ってもいられなかった。俺は電話を切ると、すぐにバイクにまたがり、月明かりの下を走り出していた。  故郷までの数百キロの道のりを、俺は今、親父のために走っている。
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