17人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
APE
峠を目指し、アクセルを全開にして、バイクで夜の街を駆け抜ける。
車の列の隙間をひらひらと縫うと、俺の横柄な走り方に腹を立てたのか、どこかのドライバーがクラクションを鳴らした。
「朝になったら新幹線ですぐ来て」
と言った、電話の向こうの声は震えていた。
いても立ってもいられなかった。俺は電話を切ると、すぐにバイクにまたがり、月明かりの下を走り出していた。
故郷までの数百キロの道のりを、俺は今、親父のために走っている。
最初のコメントを投稿しよう!