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森の中に、レメリアは見たこともない雰囲気の家が立っていた。タクシーを降りて、玄関にハリムは指と目を機械に当てて、扉が開いた。
「ただいま。戻ったよ、キリィ。居るか?」
奥から、背の高い男性がすっと姿を現した。
「お帰りなさいませ、ハリム様!十年ぶりでございましょうか?キリィはお待ち申しておりました。」
「客がいるんだ。お客様だから、丁寧にもてなしておくれ。俺はとりあえず風呂に入る。彼女にも風呂の支度をしてやってくれ。」
「まあ、お客様なんて、これまた何十年ぶりでしょう。了解いたしました、最上級のおもてなしを用意いたします。お嬢様、こちらへどうぞ。」そう言ってキリィは小さなゲストルームへレメリアを通した。その時、レメリアの足下に何か柔らかいものが巻き付いた。
「まあ、猫? かわいい。見た事ない顔つきね。私、猫大好きなの。」
「こんなところに居たのか、ミルキー。これはマンチカンという種類でございます。お嬢様、こちらの部屋をお使いくださいませ。」
「どうもありがとう。ミルキーって名前なのね。それにしても、素敵なところ。ハリムってば、お金持ちなのね。着替えは借りれるかしら?もしあればだけど。」
「申し訳ありませんが、お客様用のはございません。ハリム様用の新品のパジャマがございますので、そちらでよろしければすぐにお出しできます。」
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