8 先生、咲桜になにしたんですか?

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「娘ちゃんが?」 在義さんの返事を聞いて、龍さんは俺を振り返った。 「流夜。勘違いする前に言って置くが、桃子はこれを遺して死んだワケじゃねえ。自殺でもない。これは桃子が亡くなったあと、桃子の手帳から出て来たもんだ。娘ちゃんの発作は知ってる。たぶん、桃子が書いたことが原因だろう。……在義と娘ちゃんに申し訳ねえ気持ちだけは、終生消せなかったんだろうな」 「……補足をありがとう、龍生。……あの、流夜くん? まだ涙ひかないの?」 未だにボロ泣きしている俺を、心配そうな顔で見てくる在義さん。 慌てて拭った。泣いたのなんていつぶりだろう。 ……バカ弟の教育に失敗したと知ったとき以来かもしれない。 「すみません……。咲桜の母親が、咲桜のことを疎んだり嫌っていたわけじゃないってわかったら……」 安心した。……とは、少し違うかもしれない。 咲桜が嫌ってはいない母が、咲桜を嫌っていなくてよかった。……そんなところだろうか。 「……罪人、ってところに反応するかと思ってたよ」 在義さんは肘掛けに頬杖をついて言った。言われて、俺もはっとする。
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