4 偽モノの、婚約者が出来ました。

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4 偽モノの、婚約者が出来ました。

+ side遙音 「あれ?」 旧校舎の廊下を歩いていると、窓の外に小走りで出て行く女生徒の姿が見えた。 今まで旧校舎に生徒の影を見たことはない。 あれは……と、記憶をめくる。 一年生の女子だ。名前はよく知っている。華取咲桜だ。あの子の―― 「……え?」 華取。 その名は、俺には聞き馴染んだものだった。 むしろ今まで気にしないでいたことに不審を覚える。 「神宮―、今、華取本部長の娘が出てったんだけど、知り合い?」 資料室の扉を開けると、中にいた神宮の肩が跳ねたように見えた。 ……あ? 「またお前か」 うんざりしたような顔も、もう見慣れた。 俺が小学生の頃からの付き合いだからかねー。 ……神宮たちは、俺がそっちに関わるのを快く思っていない。 それも知っていて、俺はここにいるけどな。 一つだけ置かれた机に据えられた回転椅子に腰かけていて、タブレット端末で何かを読んでいるようだ。 どーせ外国(そと)のニュースか論文かだろ。 「で、知り合い?」
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