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100% LOVE or DEAD
ゼミの中でも一番の美人かつとびきりの才女であると、誰もが認めていたK子を最終的に射止めたのは、あろうことか俺の親友T崎だった。
「どうよ、新婚生活は」
結婚式の二次会の幹事を務めた俺に、礼代わりのハネムーン土産を渡したいから軽く一杯やらないかと、T崎に誘われた金曜日の夜。新婚の野郎から、思う存分のろけ話を聞いてやろうじゃないかと、学生時代を懐かしみ、あの頃通い詰めた下北沢の居酒屋で、俺はT崎に話を向けた。
「うーん、それがさ……」
振られても振られてもK子の事をあきらめずに、何度も猛アタックをしてようやく手にした花婿の座のはずなのに、T崎の顔は今ひとつ晴れない。披露宴の席では「K子と結婚出来て、俺は銀河系一の幸せモノです!!」と号泣しながら絶叫していたくせに、早くも新婚旅行で何かあったのか。
「コレ、なんだけど……」
まるで結婚会見に臨む女性タレントののように、左手の甲をこちらに向けたポーズをとるT崎。その薬指には、まだ傷も曇りもない、真新しい銀色に光る細いリングが存在感を放っている。
「その結婚指輪が、どうかしたのか?」
「試されているんだ」
「何を?」
「俺の、K子への愛を」
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