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「あくまでも、俺の愛情を確かめたいが為に、K子はコレを発明したって事だよ。そう考えると、『俺って愛されているんだなぁ』って感動もひとしおだよね」
「じゃあなんでお前、最初浮かない顔をしてたんだよ。そんな指輪をつけさせられて、悩んでいたんじゃないのか?」
「いや、悩んでいたと言うか」
T崎は、とろりとしたまなざしで指輪を撫でる。
「こんなものを造らなくても、俺のK子への愛は一生100%全開なんだけどなぁと思ってさ」
なるほど。結局はのろけ話に落ち着くワケか。
願わくは、K子がその指輪を商品化して大量に売り出したりしないように、二人の世界だけで納めて欲しいものである。
俺は、自分の左手の薬指に鈍く光る結婚指輪に目を落とした。
T崎のと違って、随分と傷ついて輝きも失われている。学生結婚をした俺は、もう既に結婚十周年を迎えた。今でも妻に対して愛情が100%あるかと言えば……。
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