1冊のノート

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「.......お母さん」 最後のページにまだ赤ちゃんのあたしと映るお母さんの写真が貼られていた。 どうして、これがここにあるのか。 昨日まで、これの存在も知らなかったのに不思議だった。 でも、たぶんわかる。 お母さんがあたしに伝えようとしていることが。 「お母さん、あたしちゃんと言うよ」 ノートを抱きしめて、そう誓って。 あたしは、スマホを手に取った。 「椋(りょう)くん、話があるんだよね」 『は?俺らもう別れただろ?何話すっていうんだよ』 あたしの話に不機嫌そうに声が低くなる椋くん。 「あたしから、別れたいって言ったくせに、無神経だとは思う.......でも、どうしても話したいの」 『わかったよ.......家、行けばいい?』 「うん。お願い」 ほんの1週間前。 あたしは、付き合っていた彼氏に別れを告げた。 「別れたくない」と言う彼に理由も言わず、ただ首を振るだけのあたしに最後、彼は「本気で好きだったのに」と、傷ついた顔で帰って行った。
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