1冊のノート

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あたしも椋くんのことが大好きだった。 そんな、あたしが自分の異変に気がついたのは、つい2週間前のこと。 毎月あるものがきていないことに気がついて、恐る恐る検査薬を試したところ、陽性反応が出たのだ。 そこから1週間悩んで、あたしは高校生で産めるわけがないと諦めることにした。 そして、椋くんには何も言わずに別れようと決めた。 そんなとき、テーブルの上に置いてあった1冊のノート。 そのなかには〝おばあちゃんになる〟もあった。 そのページはいま、涙のあとで濡れている。 お母さんのものではなく、あたしの涙。 その言葉を見た瞬間、すべてを見透かされてる気がして、涙が出たのだ。 もう、お母さんは亡くなっていて、おばあちゃんになって孫を抱くことはできない。 でも、お母さんのお墓の前にお腹の中の子を連れて行って、報告をすることができる。 お腹の中の子にとって、たとえ亡くなっていたとしても紛れもなくおばあちゃんだ。 「かなえてあげたい.......」 これもこれも全部。 あたしができれば、お母さんのやりたいこともかなったことになるのだ。
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