1冊のノート

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「産みたいから.......」 「お前、高校生だろ?お金はどーすんだよ」 「働くよ.......高校なんてやめてもいいんだし。ギリギリまで」 はぁーっと深いため息が聞こえる。 あたしは、別に迷惑をかけるつもりなんかない。 お金が欲しいわけでもない。 ただ、産むことを認めて欲しいだけ。 「なぁ、なんで別れようって言った?」 椋くんがあたしの前に改めて座って、きちんと向き直る。 「最初はおろそうと思って..............」 「うん」 「でも、辛くて.......」 「うん」 椋くんは、静かに相槌を打ってくれる。 「椋くんと一緒にいたら、いつまでもおろしたことを忘れられないと思って、別れてって言った.......」 言いながら、あたしの目には涙が溢れて止まらなくなってしまう。 「.......なんでだよ」 「え?」 「なんで、俺も当事者なのに蚊帳の外にされてんだよ」 悔しそうに唇を噛む。 「ごめんなさい」 「ごめん」 あたしが謝ると、突然椋くんも謝ってきた。
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