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「.......え?」
「芽々が悩んでいたのに、何も気づいてやれなくてごめん」
椋くんに引っ張られて、腕の中へと引き込まれる。
「椋くん.......?」
「おろそうと思ったのはなんで?」
「あたし、母親を知らないから.......」
2歳で母親を亡くしたあたしは、当然ながらお母さんの記憶が全くない。
だから、自分がちゃんと母親をできるのか不安だった。
「でも、いまはおろすつもりないんだよな?」
「うん、産みたい」
あの、ノートをみて。
お母さんが書いていることのほとんどがあたしのことだった。
そのノートをみて、お母さんの愛に溢れていたことを知って、自分には子供を愛せないんじゃないかっていう不安が消えたきがした。
物心ついたときにはお母さんがいなかったから、お母さんに愛された記憶がなくて。
こんなあたしに、子供を愛すことなんてできないって思ってた。
でも、もう大丈夫な気がする。
「なんで?急に考えを変えたの?」
「これ、見つけたの」
テーブルの上の1冊のノートを椋くんにも見せる。
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