1冊のノート

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あえて、突然置いてあったことは言わなかった。 そういう類の話、椋くんは苦手だから。 あたしだって、最初は信じられなかった。 でも、このノートをみてきっと大丈夫だって思うことができた。 「これ、もしかして芽々のお母さん?」 「うん、そうみたい」 最初は信じられなかったし、誰かのイタズラだろうって思った。 でも読み進めていくうちに、これはお母さんだって思うことができた。 お母さんはきっと、あたしがおろすことをためらってつることを知っていた。 その躊躇いを払拭させるために置いてくれたんだって思っている。 お母さんの愛を知ることができたから。 「すげぇな、これ。芽々のことばっか書いてんじゃん」 「うん、だから、それ全部かなえてあげたくて。あ、でも結婚しないで産むから花嫁姿はみせてあげられないかなー」 きっと子供を産んだあたしを嫁にもらってくれる人なんていないだろう。 だから、それだけがかなえてあげられないのが残念。 でも、それ以外は何とかしてあげるから許してもらうよ。
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