451人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
僕の言葉に瞬きを数回繰り返した後、みるみる内に顔を真っ赤にさせて目に涙を溜めた鷲崎さん。
え…そんなに嫌だった?
泣くくらい嫌だった?
え…無理、僕もう死んで良い?
ここで死ねば鷲崎さんに看取って貰えるし、嫌われるよりは断然幸せ……「それ、本当ですか?」
か細い声が、僕の耳を擽った。
「え?」
「今の言葉……本当ですか?」
涙を一杯に浮かべた瞳で、僕を見上げる鷲崎さんは控えめに言って天使だ。
可愛い。
可愛過ぎるよ、その涙はもしかしなくても聖水じゃない?
「うん、本当だよ。嘘なんてつかない。迷惑だろうけど僕はもう君しか見えてないんだ。」
会社内でも無意識に君の姿ばかりを探していた。
その黒髪を見れただけで、嬉しくなって仕事をする速度があがるくらいに僕は単純な人間だ。
「……も。」
彼女の手が伸びてきて、離れたばかりの僕の手をそっと握った。
!?!?!?!?!?
え…鷲崎さん自らが僕に触れてくれた。
これは夢?はたまた僕の幻覚?どちらも可能性が濃厚すぎて分からない。
「私も。」
混乱している僕に追い打ちをかけるように、彼女は僕の胸に擦り寄ってきた。
「私も、雀宮さんが好きです。」
それは、僕がずっとずっと求めていた、欲しくてたまらなかった一言だった。
最初のコメントを投稿しよう!