リクノコ島奇談

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 「ぼくたちには、やることがあるんだ」  トーマスは立ち上がると、学生寮の出入り口に向かう。  「ぼくにもある。反省会は好きにやってくれ」  チャールズも立ち上がり、学生寮から出て行ってしまう。  「待てよ。逃げる気か? 折角アドバイスしてやってるのに」  「明日の授業に備えて練習がしたいんだ」  トーマスとチャールズは、ファンを振り切ると、明日の授業に備えて、二人きりでグラウンドで練習を始めたのだ。トーマスは昼間にルイから教わったことを頭の中で反芻しながら小太刀を振る。  「半身に構えて、最短距離で攻撃する。半身に構えて、最短距離で攻撃する」  「もう少しグッと踏み込んだ方が、小太刀に体重が乗るよ」  トーマスが振る小太刀を受けながら、チャールズがアドバイスをする。  「こうかな?」  トーマスは、踏み出す足に思いきり体重を乗せて、小太刀で真っ直ぐに突きを放つ。  「さっきより、だいぶん良くなったよ。きみはリラックスしている方が小太刀が上手いね。ぼくも突くよ」  真夜中のグラウンドに、トーマスとチャールズの声が響き渡る。
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