リクノコ島奇談

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1  「モンスターは正々堂々とまっ正面から攻撃してくれるほど甘くはないぞ。こちらの攻撃を待ってくれるほど優しくはない。自分から攻撃していけ!」  リクノコ島学校の夕方のグラウンド。小太刀科の講師ルイの怒号が響き渡る。 リクノコ島学校は、小太刀科のほか、長剣科、槍科、短槍科、杖科、棒科、薙刀科と選択科目を持つが、入学したての初心者は小太刀から使い方を教わる。 長剣科では盾を装備出来たり、小太刀を片手に二刀流を覚えることも出来るため、生徒には人気の科目だが、短槍や薙刀は扱いが異なるので習う生徒は少ない。 校長のライコーが創立した時代には二段長剣というヌンチャクのような武器を習う科目もあったが、現代は使うものが少なくなったため、科目から外された。  「はい先生っ!」  リクノコ島学校一年のトーマス・ソーヤーは手にした小太刀を構えて、襲いかかってくるモンスターの迎撃に備える。 相手はイタチほどの大きさをしたネズミ、ウェアラット。リクノコ島に棲息する知能の高いモンスターだが、一匹や二匹ではない。十匹ものウェアラットがトーマスの肉を餌にせんと目を光らせている。  「いくぞ、ネズミども!」  トーマスは勢いよくウェアラットの群れの中に体を突っ込んだ。
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