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こんなはずじゃなかった。
トーマスの脳裏を後悔が駆け巡る。魔法の名門校に入学し、魔法使いになるのが夢で、自分なりに勉強はしたが受験に失敗し、滑り止めでこの学校に入学することに。
生きて卒業出来た生徒はいないと噂される、リクノコ島学校には死んでも行きたくないと思っていた学校だった。
しかも、トーマスな一番嫌いな「運動」と「戦闘」を授業でさせられることになるなり、情けないことにネズミ一匹にすら勝てないという醜態を晒すことになるとは、思ってもみなかったのだ。
「逃げてばかりでは勝てんぞ、体力を無駄に消耗するだけだ。仕方のない奴だな」
ルイは小太刀を手に、ジタバタするトーマスに静かに近づくと横一文字にスパンと一閃し、トーマスの服にしがみつくウェアラットの群れを素早く払いのける。
「扇打ち」と呼ばれる、短距離を短時間で攻撃する技術だ。
「実戦では誰も助けてはくれないこともある。よって授業はやり直しだ。自分の力でウェアラットに勝てるまで戦ってもらうぞ」
「そんな......」
「言い訳無用。行動が先だ。一体ずつきちんと戦いながら、適切な距離を保て。小太刀の先端から内側を間合いの目安にしろ」
教えすぎたか。そう思いながらもルイは、トーマスにアドバイスをした。
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