リクノコ島奇談

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 「うわあああ!」  トーマスは雄叫びをあげながら、ウェアラットの群れに駆け出すと、群がってくるウェアラットの大群にがむしゃらに小太刀を振り始めた。  「得物は"叩く"もんじゃない"斬る"もんだ。力まかせに振れば小太刀が傷付くぞ」  「でも当たりません」  「仕方ないな。じゃあサービスだ"ネズミの毛"一本でも掠めただけでも一本にしてやる」  「ネズミの毛一本、ネズミの毛一本、ネズミの毛一本、ネズミの毛......」  ルイが提案したことを、トーマスは呪文のように反芻しながら、目の前の一匹に意識を集中させる。 対人戦では、毛髪や衣類も体の一部と認識しているため、これを掠めただけでも一本としてカウントしている。モンスターとの実戦ではそうもいかないがそうでもしないと、実戦訓練が終わりそうにないとルイが判断したのだ。  「そこだっ!」  トーマスは一番近くのウェアラットの胴体に、小太刀を振り下ろして命中させた。  「やれば出来るじゃないか。今日の授業はそこまでだ、明日もその調子で頑張れよ」  ルイはトーマスの前に立つと、鋭い視線をウェアラットたちに向けて退散させた。モンスターとの戦いは戦う前から勝負は決まっていると考えるルイはウェアラットたちを目で脅したのだ。
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