リクノコ島奇談

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 「ありがとうございました!」  ウェアラットとの戦闘に悪戦苦闘したトーマスはグラウンドにぺたりと座りこむ。グラウンドを散々走り回って普段使わない筋肉を使ったので、息も絶え絶えで汗もダクダク、足はガタガタで節々の筋肉が悲鳴をあげた。 早く学生寮に帰って汗を流して、ぐっすり寝たいがそうは問屋が卸さなかった。  「トーマス、授業が終わったら集合して正座だろう」  小太刀科の生徒たちは、ルイの前に整列し、正座をしはじめている。トーマスはびっこをひきながら「は、はい」と列の最後尾に歩くとひざを押さえながら、正座をする。  「小太刀は右、メットは左だ。正座中にモンスターが襲って来ても、対処できるようにしておけよ」  モンスターは相手が座ってようが、寝てようが胃袋に入るまで獰猛に襲いかかってくる。いつでも武器を手に戦えるようにしておくようにルイは教えているが、全身ガタガタで早く休みたいトーマスは、それどころではない。  「モンスターが何時どこで襲いかかってくる状況は変えられないが、それに対する反応を変えることで、結果を変えられる。状況+反応=結果だ。よし黙祷っ!」  ルイの合図で、トーマスは目を瞑り黙祷をする。  
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