14人が本棚に入れています
本棚に追加
「ただいまー!」
朝っぱらから、大声を出しながら部屋に入って来たのは幼馴染のミドリだ。
萌黄色のブレザーにベージュのプリーツスカート。僕と同じ高校の制服を着て、ニコニコと笑っている彼女に会うのは七日ぶりの事だった。
「おかえり。って、ここは僕の家だけどね」
すると、ガクリと頭を垂らしながら盛大な溜め息をつく。
「あのさ。もうそろそろ慣れてもいいんじゃないかな。本当、そういう適応能力のない所がキミの欠点だと思うよ?」
「いやいや。ミドリとこうして話している時点で適応してると思うけれど。普通なら発狂してるよ?」
「そうかな?」
と、唇を尖らせながら腰まである甘栗色の髪の毛を片耳に掛ける。
その仕草も生前と何一つ変わらないのに……。
__目の前にいるミドリは幽霊なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!