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「例えば、ミドリに未練が残っていても?」
「うん。百日までの契約だからね」
どうやら、あの世には色々なルールがあるようだ。
彼女が最初に幽霊になって現れた、初七日の日に少しだけ話を聞いた事がある。
「ねえ。どうして僕を選んだの?」
未練がある幽霊だけが、法要毎にこの世に戻って来られる。
その時、故人の姿が見える人を本人が一人指名をするのだとか。どうやら、僕は彼女に選ばれたようだ。
そのお陰で、初めて彼女の幽霊と対面した時は頭が可笑しくなってしまったのかと戸惑った。
しかしそれもすぐに慣れた。今では、法要毎に供養として彼女の行きたい場所に連れて行ってあげる余裕だってある。
案外、この状況に適応しているのだ。
「それは、一番口が固そうだから」
「……なるほど」
もし僕以外の誰かに、彼女が幽霊になり戻って来ている事がバレてしまったら、すぐに彼女は消えてしまうらしい。
そして、幽霊の彼女と過ごした僕の記憶も一緒に……。
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