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 会津坂下駅近くにある弁天学園に僕は通っている。数学が大嫌いだ。平方根なんてやる意味あるのだろうか?弁天学園は塾だ。しかし、教室や給食、運動会などもある。社会人学生もたくさんいる。  最長で3年までいられることが出来る。  僕はまだ1年生だ。  4月9日、火曜日……平成時代も残りわずかだ。  昨日、入学式があった。金曜から3日間、合宿がある。  始業のチャイムが鳴る。  僕は秋山勇先生の研究室に向かった。  弁天学園は自分たちの教室ってのがない。  各研究室に移動しなくてはいけない。  秋山先生は東棟の1階、101号室だ。  研究室のドアを開けた。  タバコのもうもうとした煙に噎せた。 「嫌煙家か?上杉謙信と武田信玄も、煙の前じゃ仲良しだな?」  秋山がタバコを灰皿に押し当て、消した。   秋山はパンチパーマにチョビヒゲスタイル。 『探偵物語』の、松本刑事に似ている。  秋山は本業はミステリー作家だが、あまり売れてないらしく副業で講師をしている。 「君たちは江戸川乱歩を知っているか?」  秋山が黒板の前に立ち、『江戸川乱歩』ってチョークで書いた。重要なのか、ピンク色だ。 「江戸川コナンの祖先でしたっけ?」  僕は言った。 「工藤新一は薬で小さくされて、たまたま目に入った江戸川乱歩とコナン・ドイルの本から、江戸川コナンって名前を思いついたんだ」 「あんまりマンガ読まないからなぁ」 「恥ずかしい、常識よ?」  隣に座っていた美女が言った。  宇喜多絵里、高校卒業後に派遣社員として食品工場で働いていたが派遣切りにあった。  この学校はモンスターを倒すことにより好きな資格を取得できるって裏技もある。      
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