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だが、あまり後先考えないらしい王子は――
まあ、そういう人でなければ、親がうるさいから、とりあえず、眠っている姫を仮の妻にとか思わないだろうが。
いきなり、ベッドを縛り付けているイバラの蔓を切ろうとした。
「強引なやつだな。
まあ、女は強引な男がいいと言うからな」
「……いやそれ、たぶん、こういう強引さじゃないと思いますよ」
と我々が話している間、王子はまず、ベッドの脚に絡みついているイバラを切った。
すると、ぐらりと塔全体が動いた。
小悪魔が言う。
「かなりの年代ものだからな。
傷んで崩れかけている石積みを魔法のイバラが支えてたんだろ。
切ったら崩れるかもな」
「ええーっ?
じゃあ、王子にイバラを切らないように言わないとっ」
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