王子様がやってきました

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 こんなことを寝ている自分に語ってくれた人は居なかった、と思う私に小悪魔が言った。 「……目覚めたければ、王子にキスをするといい」  私は振り返り、 「どうやって?」 と訊いた。  小悪魔は少し考え、 「そうだな。  お前からキスすることは想定してなかったな。  眠っている可憐な娘を見たら、その娘を幸せにしたいと思った王子が自らすると魔女も思っていただろうしな」 と言う。  そう言われると、私が、可憐な娘ではなく、幸せにしたいとも思われてない可能性が高くなってしまうのだが……。 「なにかこう、自分で王子を誘うような雰囲気を出してみろよ」 「だから、どうやってっ」  寝てるんだってばっ、と言うと、小悪魔は、 「仕方がないな。  物理的な手段で行こう」 と言って、王子の後ろ頭をむんずとつかんだ。
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