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「呪いをかけてから15年。
日々、酒盛りや遊ぶことに忙しい魔女は、すっかり当時の恨みは忘れ、呪いなんてかけなくても、もういいか。
よく考えたら、娘、なんにも関係ないし、と思っていたのに。
こいつは、呪いに怯えるあまり、勝手に塔に入り、勝手につまづいて、勝手に紡錘で指を刺し、勝手に眠りの呪いを発動させた大莫迦モノの娘だが」
そ、そうか。
それで、あのとき部屋に入ってきた魔女が、あっ、って顔してたんだな……と今、気がついた。
おそらく、当日になって、あ、今日が呪いの日だった、と思い出し、呪いの紡錘を片付けようと思ってきたところだったのだろう。
それで、この人を世話役につけてくれてたのか、と小悪魔を見る。
もう呪う予定もなかったのに、勝手に呪われたから。
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