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深い森の中、イバラに囲まれた城に私は眠っていた。
15歳の誕生日の夜、魔女に呪われ、眠りに落ちたのだ。
あれから100年。
私はずっと自分を起こしてくれる王子様を待っている――。
……というか、待っていた。
今は、
「別に王子様でなくていいや」
そう思っている。
「なんか気の合いそうな人だったら、なんでもいい」
「なんだ、そのざっくりな感じは」
と可愛らしいぬいぐるみのこぐまが言ってきた。
眠りについた私は幽体となって自らの身体を見張っているのだが。
そんな私に魔女が遣わした小悪魔がずっとついているのだ。
城で育った世間知らずの私は15になっても、まだ幼く、子どものようだったので。
悪魔の姿を見て泣いたりしないよう、小悪魔は私のぬいぐるみにとり憑いてくれたのだが。
あれから100年。
もう小悪魔どころか、大悪魔を見ても泣かないくらい神経は太くなっていたが。
小悪魔はまだ、こぐまのままだった。
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