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「眠っているお前の顔を見てたんだ。
100年もひとりで眠っていて、孤独だったんじゃないかと思うのに。
お前は穏やかにうっすらと笑っているように見えて。
口をきいたこともない。
起きて動くお前の姿を見たこともないのに。
……何故だが、お前となら長い人生を共にできる気がした」
わかる気がする、と私は思っていた。
私もあなたを見た瞬間、これから歩むのであろう静かで穏やかな人生が見えた気がしたから――。
「お前の……名前はなんと言うのだ?」
と言った王子に、私はちょっと笑い、
「私も今、訊こうと思ってました。
あなたのお名前はなんとおっしゃるのですか?」
と言った。
いや、まず訊け。
結婚を申し込む前に、という小悪魔の声が聞こえた気がした。
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