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王子と語らっている間に、足に巻き付いていた呪いのイバラは消えていた。
私は王子に手を引かれ、立ち上がったが、
「ちょっとお待ちいただけますか?」
と言って、窓辺に引き返した。
ぬいぐるみのこぐまを抱き上げる。
小悪魔がこの中に居るわけではないのだろうが。
ぎゅっとそれを抱きしめた。
そんな私を見て、王子が言う。
「大事なものなのだな。
汚れを払って、日当たりのよい窓辺に飾ってやるといい」
「……はい」
と見上げると、王子が困った顔をする。
どうしたのだろうと思っていると、
「そういえば、キスしたらお前は目覚めるという話だったな」
と言い出した。
いや、忘れてたのか……と思ったとき、
「……お前が勝手に目覚めてしまったから、タイミングを失った」
と王子は赤くなって言ってきた。
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